わいわい塾

開催レポート

2012年9月 だんだんボックス

2012/09/20

 

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今回のテーマは、「アートと福祉、地域活性化を結ぶ、新たなカタチ」。

 

建築家でもあり、九州大学大学院准教授の鵜飼さんよりだんだんボックスの紹介・このプロジェクト
に取組むきっかけについてお話ししていただきました。
 

 

 

 だんだんボックス実行委員会 鵜飼哲矢 様
 

 

☆だんだんボックスについて

障がいを持ちながらも素晴らしい絵の才能を持つアーティストたちの作品が、人から人へと贈る段ボールの箱になって、地域の名産、プレゼントなど、人の思いを「だんだん(ありがとう)*」の気持ちで包みながら全国へ移動する今までにない試みです。
コンセプトは「持続的な経済活動としてしっかりと成立すること」
障がい者自らが経済活動を伴って社会参加する事にこそ誰にとっても真の生きがいがあると考え、それがだんだんと広がるように応援するプロジェクトです。
企業や自治体とのコラボレーションで、封筒や紙バック、信用金庫の現金封筒、自動販売機など魅力的な商品がどんどん生まれています。
この中で得られる収益を、経費を除き全て作家や福祉施設など、様々なところに還元できる仕組みを作っています。

 *「だんだん」とは、江戸時代に京都で生まれ西日本の一部に残る方言で「ありがとう」の意味です。

 

☆だんだんボックス発足からのあゆみ

障がいのある方が書いた絵を見せてもらった時、
誰にも媚びていない、思ったままに描かれた絵がとても素晴らしく、
偶然横にあった、ただの段ボールにこの絵が描かれていたら・・・面白い!段ボールだったら、人から人へ世界中を旅して回れる!アートが動く美術館みたい。
これが、世の中にちゃんとしたカタチで見てもらえる、それが仕事になる仕組みはないものか。
障がいのある方々の収入に繋がれば、障がいのある方々の生きている証になる。
「一つの仕事として確立できるのではないか!」と思われたのがこのプロジェクトを始めるきっかけだったとのこと。それが2010年3月。
それから、具体化するために仲間達が集まり、神崎邦子氏を代表に同年8月にだんだんボックス実行委員会が発足しました。

 

岡崎信用金庫の現金封筒のデザイン採用者のお母様が「この子を産んで良かったと初めて思いました。」と語ったとのエピソードがありました。ここまで来るのに大変だったんだろうなあと思うと同時に、障がいのあるアーティストだけでなくその方を支えてこられたご家族にも生きがいを感じてもらえることができる、だんだんボックスはそんなプロジェクトなんだと思いました。

 

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だんだんボックスのテーマソング、冨永裕輔さんの「ありがとう」にのせて、だんだんボックスの一年の歩みのムービーを視聴しました。
 

福岡・博多港にあるおもてなしコンテナ。
海外からの旅行者が船を降りて最初に見る港の風景。コンテナに描かれた楽しい作品が旅行気分を盛り上げてくれます。 

 

 

 
 

☆取組み事例 

hanawa.JPG実行委員会の塙さん

だんだんボックスが今まで販売してきた商品の一部を実際に持ってきて見せてくださいました。

 

 

 

 

 


yuubin.JPG全国約30ヶ所のショップやホテル、福岡県を始め九州各県・東京都の郵便局70局で販売中!
60~120サイズ企画(200円~400円)
2011年度グッドデザイン賞を受賞しました。

 

 

 

 

2sinyou.JPG岡崎信用金庫の現金封筒、ティッシュボックス、通帳や通帳ケース、キャッシュカード

 

 

 

 

 

 

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奥:大丸福岡天神店の紙袋

原画に企業の特色を生かせるようプロのデザイナーがアレンジしています。

手前:イチリュウのケーキ箱

裏面がポストカードとして利用できるようになっています。
 

 

 

 

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 椒房庵の発送用段ボール

もらった人も思わずにっこりしてしまうようなポップでかわいい絵が箱いっぱいに描かれています。

 

 

 

 

 

 

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 九州大学でデザインを学ぶ学生達が障がい者が描いた絵を和紙にあしらった商品「だんだんオリカタ」を考案し販売。見本どおりに和紙を折ると、色あざかな封筒やぽち袋になります。

 

 

☆グループトーク「だんだんボックス あなたはどんなふうに応援したい?」

 

to-ku1.JPGどんな場面で「だんだんボックス」を使ってみたいか、皆さんで話し合っていただきました。
 

 

 

 

 

 

to-ku2.JPG・病院、薬局の「薬袋」
・うちわ、ハンドタオル
・トイレットペーパー
・レターセットや文房具、ボールペン、下敷きなど文具、学校の用具・教材、
・ランチョンマット、長く使えるエコバック
・デパートの高級果物箱、紙袋、包み紙
・プリントされたTシャツ
・衣装箱、三段ボックスの中に入れる箱、おもちゃ箱
・カーテンやのれん、壁紙、大物家具


・トラックやバス、駐車場の地面 ヤフードームに登る大きな階段にデザインしては?
・見ている誰もがほっこりする作品ばかり。作品のモチーフはたくさんあるだろうから色々なジャンルで商品化が可能と思う。
・作品がDMを兼ねる、公共施設に使い広報するのは?。
・デパート業界、運送業界、ホテル業界など業界全体への働きかけ。などなど・・・

実際に作品を手に取り、絵を見て頂きながらのグループトーク。たくさんのアイディアが浮かびました。

 

 ☆「今後の展開」

1%.JPG1%の+-の差は一年後には1423倍になる!
何かをやり遂げるには毎日続ける、少しずつがんばること。
たかが1%と思うなかれ!

まず今日やらない→明日やらない→永遠にやらない
夢を実現するには→今日を一生懸命楽しみながらがんばること!

 

「涙は世界で一番小さな海です」(寺山修二)
一つ一つの小さなことが海のように大きなものに変わっていく・・・
小さな段ボールからコンテナ、大きな街づくりへ

 

「鈴と小鳥とそれからわたし  みんなちがってみんないい」(金子みすず)
一人一人を大切に、それぞれの個性を大事にするそんな優しい社会を目指して頑張っていきたいと思います。
と鵜飼さんが語ってくれました。

 

これからの「福祉」のあり方を変えて行きそうな、大きなこのプロジェクトを応援していきたいと思います。

 

参加者と実行委員会の意見交換とアンケートの声(一部)

デザインに対する著作権は?

きちんと保護されており、作家さんに毎年支払われる仕組みとなっています。

自動販売機のデザイン使用料は?

売上の5%が作家さんに支払われます。

今までどのくらいの報酬を支払うことができましたか?

約400万円くらいです。

デザインはそのまま使用されるのですか?

原画の特徴を生かしながらクライアントのイメージに合わせて色を変更したり、プロがアレンジする場合があります。

デザインをお願いしたい時はどうしたらよい?

直接、事務局の方にお申し付けください。
 


 

 感想(一部)

  • 発起人からの直接の話を聞け、非常に感動した。だんだんボックスの背景ががわかることで凄く関心が持てるようになった。地道な活動ですが、この取り組みが大きく広がっていって欲しい。
  • 毎日1%、頑張る力をもらえました。
  • 優しさのネットワークを広げることで一人一人に光をあてて、大きな光になっていく。このあたたかい取り組みに大賛成です。
  • 障がい=個性、人として一生懸命生きていることに感動しました。
  • 「だんだんボックス」初めて知りました。障がい者が生きがいを持って社会へ出て欲しい。
  • 政治家や官僚が「福祉」と言うときの違和感。弱者と言われている人々の社会参加を応援したい。
  • お話を聞いて気持ちがとてもあたたかくなりました。障がい者の方のご活躍がこのような形で表現され、 見る方の私達も優しい気持ちになります。
  • だんだんボックスはあることは知っていたが、どこで買えるのか知らなかった。今後是非使ってみたい。
  • 障がい者の方の「心の表現」。とてもかわいい画ばかりですね。
  • 心温まる作者の作品今後ともたくさん目にしたいと思います。サポートの皆様頑張ってください!
  • あまり期待していなかった今回のわいわい塾・・・お話しを聞いて感激しました。障がい者は心の優しさがあり、宝だと思います。
  • 「一人ひとりの大切さ」に力点が置かれており大変立派な考え方だと感じた。
  • どの絵も優しくて楽しい気持ちになれる素晴らしい作品ばかり。部屋の中に置いておきたくなります。
  • 子供向けの商品には漫画のキャラクターが多いがちっとも良いとは思えない。このような絵があちこちで見られるように願っています。
  • こんなに可愛いBOXで荷物が届くと嬉しくなると思います。福岡がだんだんボックスでいっぱいの街になるといいな。
  • どの作品もあたたかい絵で見ているだけで心が和みます。だんだん(ありがとう)の心が十分に伝わってきました。
  • 郵便局でダンボールを見たことがあり、人に贈り物をしたくなりました。

     
企業情報

だんだんボックス実行委員会
福岡市中央区渡辺通2-8-12-602
TEL 092-406-9815 FAX 092-406-9816