わいわい塾

開催レポート

2012年11月 ぬか床 千束

2012/11/20

 

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本日のわいわい塾のテーマは「母から子へ伝えたい伝統の発酵食品」


「ぬか漬け」は米ぬかを乳酸発酵させて作ったぬか床の中に野菜を一晩漬け込み、美味しくいただける発酵食品の一つです。

発酵食品は、整腸作用のほか免疫力アップ、がんの予防などの効果があるとわかり、今注目されています。
 


ぬか床「千束」店主 下田敏子先生
 

「千束」のぬか床

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「千束」のぬか床は、小倉小笠原藩、豊前千束藩の太政官を務めた植野家から代々受け継がれてきたもので、本日お越しいただいた下田先生で五代目。

江戸時代、長州藩が攻めてきた時には、持って逃げたほど大切にされていたとのこと。200年以上前の菌を今も大切に守り続けておられます。

 

 

 

 

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100年単位で生き延びる植物性乳酸菌の存在に着目した九州大学大学院の教授が長年研究を続け、「chizuka菌」と名付けられました。 

 

 

 

 

 

 

ぬか床の栄養

ぬか漬けは、一般の漬物のように塩で漬けるものではなく、乳酸菌や酵母菌等によって漬ける発酵食品です。
米ぬかにはビタミン類やミネラル類が豊富に含まれ、特にビタミンB群は床に漬けることにより、生野菜のまま食べるよりも5倍から10倍も含まれるようになります。
ぬか床は野菜を一晩寝かせるだけで栄養価をビックリするほどUPさせてくれる魔法のベットなんですね。
また、ぬか床には1gに10億個の乳酸菌がひしめきあっており、悪玉菌をたたいて善玉菌を増やし、整腸作用もあるため、“東洋のヨーグルト”と言われています。
 

野菜の漬け方 ~野菜の漬け方は種類によって3通り~

次に、野菜の漬け方について具体的に教えていただきました。

yasai1.jpg ①水洗いしてそのまま漬ける

皮を剥いたり種を取ったりしたら洗ってそのまま漬ける。
(きゅうり、セロリ、パプリカ、キャベツ、オクラ、人参、大根、かぶ、だしをとった昆布など)
キャベツは縦二つ割にし切り口を上にして(容器に入らないときは外側から一枚ずつはがして)漬ける。

 

 

 

kuwanosan.JPG②塩でよく揉んでから漬ける

アクのあるものは床を傷めるので、塩を振ってしばらく置き、しっかりアクを絞り出してから漬ける。
(なす、大根の葉、かぶら葉、水菜、葉ごぼう、ウド、ツワなど)
なすは水洗いした後へたを取って二つ割りにし、大根の葉や水菜は根元に十文字に切り目を入れ、よく洗ってから塩を振り、しばらく置いて揉んだ後十分に水分を絞って漬ける。

 

 

③米のとぎ汁で茹でてから漬ける

硬いもの、アクの強いものは、沸騰したコメのとぎ汁で半茹でにし、冷めてから漬ける。
(ごぼう、ブロッコリー、かぼちゃ、ジャガイモ、ぜんまい、タケノコなど)


漬け時間は8~36時間。夏は短めに、冬は長めに。素材や切り方によっても異なるので何でも漬けて、まずは経験してみることが大切です。

sisyoku1.JPGきゅうり、大根、人参、パプリカ、ピンク色はラディッシュ!色鮮やかな浅漬けを試食させていただきました。

 

 

 

 

 
 

hurutuke1.JPG大根と大根の皮、だしをとった昆布の古漬け。漬ければ漬けるほど乳酸菌がどんどん増え酸っぱくなっていきます。
かなり酸っぱく、癖になる味。小さく刻んでドレッシングに入れたり料理の幅が広がりそうです。


 

 

 

おいしいぬか漬けのコツは

  • 栄養価が高く、美味しい旬の野菜を漬ける。
  • アクやエグミは取ってから漬ける。
  • 酸化を防ぐため食べる直前に出す。

日頃のお手入れ

oteire.jpgぬか床は毎日かき混ぜなければならず手間のかかるイメージ。

「ぬか床は生き物なので、日々混ぜて空気を入れ込むことは必要ですが、少量のぬか床は野菜を出し入れするだけで十分です。」とのこと。
ぬか床内の乳酸菌が増えすぎると酸味が強くなりすぎてしまいます。
ぬか床を混ぜるのは空気を入れ「菌を増えすぎないようにするため(異常発酵を抑える)」なので決して混ぜすぎないことが大切だそうです。
混ぜる=おいしくなると思っていたため、ビックリしました。

正しい混ぜ方は、ぬか床の天と地をひっくり返すだけで充分で、真ん中は混ぜずにそのままで大丈夫です。
混ぜ終わったら、空気を抜き、表面をまっ平らにして酸化を防ぎます。

 

 

新床作り

左から、生ぬか、柚子皮、唐辛子、山椒の実

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nukadukuri2.JPG実際に新床を作ってみました。
生ぬかに塩、山椒の実やトウガラシ、柚子の皮、昆布の戻し汁を混ぜ込みます。
精米仕立ての3日以内のフレッシュな生ぬかは、ほんのり甘くきな粉のような味がしました。

生ぬかには菌はいないため、いい状態の種菌を加えじっくり発酵するまで待ち、ぬか床の表面に白い膜(産膜酵母)が張ってきたら混ぜ、張ってきたら混ぜ、を繰り返し、10日以上たってから野菜を漬けます。

 

 

☆ぬか床診断

自宅で使用しているぬか床を下田先生に実際に診断してもらいました。匂いと手触り、そして少量を食べてみて診断します。
「酸っぱい味がせず、菌がほどんどいない状態。また水分が少し多いので、たし糠を入れてみては」とのことでした。
その後は、あくやえぐみのない野菜を入れっぱなしにして、混ぜないで産膜酵母が張るまで待つとよいとのアドバイスをもらいました。

 

「ぬか床のお手入れは子育てと一緒。手をかけすぎず、愛情を注ぐこと」


ぬか床は生き物。水が多い、水が少ない。温度が足りない、暑すぎるなど、匂いや感触、色などによっていろいろな合図を送ってくるそうです。

旬の野菜に一手間加えることで、栄養価が大幅にUP。家族の健康のためにも毎日続けてみたいと思います。

 

<参加者とお店の意見交換(一部)>

ぬか床の保管方法は?

0℃以下、40℃超えは菌が死滅してしまいますので避けてください。24℃くらいが最適です。
春と秋がベストシーズンです。
 

長く外出するときはどうしたら良いですか?

冷蔵庫に入れ(5℃以下)菌が眠った状態にしてください。
しっかり空気を抜くことも忘れずに。

2kgのぬか床、毎日漬けても大丈夫ですか?

二日に1回くらいで。
ぬか床をあまりこき使ってはいけません。

生ぬかを入れたら、すぐに野菜をつけてもいいですか?

アクの少ない野菜を入れたりして、産膜酵母が張るまで待ってから漬けて下さい。

酸っぱすぎるのですが?

まずは、漬ける時間を短くしてみてください。
次は、調合足しぬかを入れ菌を分散させたり、温度を下げて発酵を抑えてください。

<感想などアンケートの声(一部)> 

  • 本当に素晴らしい我が国固有の「ぬか漬け」文化を丁寧に学ぶことができました。初めて本物の「ぬか漬け」を食べることができました。いくつになっても若々しい本当の健康な体作りとぴかぴかお肌を目指してみようかな~と思いました。
  • 今まで何度も挑戦して失敗していたのでぬか漬け作りは諦めていたのですが、今回のお話で失敗の原因が分かりました。ぬか漬けの美味しい季節になってきたのでさっそくトライしてみようと思います。冷蔵庫でぬか床が眠っていますので・・・
  • 黄金色のぬか床、とても素敵でした。
    お休みしていた我家のぬか床に足しぬかをして、又再開します。下田先生のお肌がピカピカなのに驚きました。きっとぬか漬けのおかげなんでしょうね。
  • 決して混ぜ過ぎないこと、ほったらかしがおいしい、産膜酵母の事など理解できた。
  • とても楽しいお話でした。こんなに歴史が古く、ぬか漬けが栄養満点とは驚きました。たくさんの調味料やソースが販売される昨今、素材をそのまま捨てずに全て活かし、ぬかだけで美味しく身体にも良く最高ですね。(野菜の皮は捨てないようにします!)
  • きゅうり、大根等の味が非常によかった。
  • ぬか漬けは苦手だと思っていたのですが、美味しくいただけました。
  • ぬか床はかき混ぜるイメージがあったので、ほったらかしが良いと知れたことや1gに10億の菌のお話が印象的でした。
  • 大根のぬか漬けが特に美味しかった。塩をそんなに使わない健康食品と言うことでぬか漬けが大好きになりました。
  • 試食は薄味でおいしかったと思います。
  • 説明と実習が一緒でとても良く理解できました。「酸っぱさ」を誤解していました。いろいろな野菜などを漬けることができるのを知り驚きました。
  • 知識として間違っていたことが多々あり、大変勉強になりました。
  • お店に伺って、ぬか床診断をしてもらいたい。サラダ感覚で、どうしても冬場は野菜不足になるので是非ぬか漬けを活用したいです。
  • 千束のぬか床はなめてもおいしかった。
  • 発酵食品には非常に興味がありましたので、味を楽しむだけでなく、効力も知ることができて良かったです。ぬか漬けデビューしたいと思います。
  • ぬか床の作り方や漬け方など分かりやすく楽しくお話を伺うことができました。
    発酵食品は今注目されていますし、日本古来から伝わるものを大切にされているのが素晴らしいと思いました。これから健康に良い食べ物で取ることに関心を持とうと思います。
  • ぬか床の神秘が分かりました。興味を持って漬物に接したいと思います。
  • 今日試食をしてみて、少し酸っぱい本物の「ぬか床」の味がしました。家で作ると塩辛いか水っぽいかだったので、また挑戦してみたいと思います。
  • 野菜のあくをぬいて漬けることが理解できた。
  • 「ほったらかしがおいしい!」とはびっくり。発酵食品の良さは認識しているものの、日本古来の伝統を着実にやりぬく千束さんは素晴らしい!時間が足りないくらいでした。
  • ぬかを口にしたところ、甘みがすごかったのに驚きました。
  • 何度かぬか床をダメにしてしまったことがあります。今日からまた大切に育てたいと思います。
  • ぬか床の作り方が理解できたし、思ったより作り方は簡単だと思いました。健康にも良いことが良く分かったので、これから挑戦してみたいと思います。
     
企業情報

ぬか床 千束(ちづか)
福岡市中央区高砂2丁目9番5号
TEL 092-522-6565 (土・日・祝はお休み)