なっとく!コラム「絵本文化のビジネスモデルを求めて!」医療法人元気が湧く

2022/10/04

 

 

 

 

子どもの歯科医療は、理系よりも文系の考え方や肌感覚が不可欠と、私は考えています。ですから、1988年の開業時から、歯科の技術的なことだけでなく、子どもの心を知ることを軸とした「文化的な医療環境」が必要であると考え、保育や育児の環境を備えた図書館施設へと、待合室の絵本の役割を進化させるために2012年6月に歯科医院に併設したのが、ビブリオキッズ &ビブリオベイビーです。

 

 

図書館の開設に合わせて、一般社団法人日本記念日協会に「絵本の日」を登録し、歯科医療と絵本と図鑑に焦点を当てた医療文化事業を始めました。大人が大人に花束を贈るように、大人が絵本を贈る世の中にする目的があります。これは「絵本の日」を制定する目的の一つとして登録が認められました。このような経緯で絵本文化のビジネスモデルの創造が始まりました。

 

医療法人元気が湧くが、本年11月に「絵本はホスピタリティの宝箱」を出版します。毎年行ってきた「絵本にまつわるエピソード」に応募された約1400編から30編を選んで出版します。この本は、絵本が大人の心に影響していることの証言集にする目的を持っています。

本年度は募集終了いたしました

 

 

たくさんの絵本にまつわるエピソード作品を読む機会に恵まれ、特異な経験をしました。人は、絵本が持つ特別な力に強く惹かれ、心を動かされ、感動する「ある瞬間」があることにこれまで気付かなかったことへの驚きの経験をしてきました。ある瞬間が絵本にまつわるエピソードが生まれる「その瞬間」なのだと確信しています。こんな身近にあることなのに見逃していたことを知って、新しい感動に出会う「その瞬間」の楽しさを知りました。大人が大人に絵本を贈ることの意義が本書のエピソードで伝わることを願っています。

絵本の基本形は絵と文とが見開きの対で構成されて、漫画や動画のように連続的な動きの描写はなされません。ところが、人の脳内では、絵本を見ると絵と文との融合で映像化と動画化がなされます。絵本のなかの一つの絵が、言葉と反応し映像が蘇り、一つの言葉を読んだり聞いたりすると、絵本の絵と関連づけるように脳が働くのです。過去の絵本の思い出は、絵や文から映像化されたものが再生され、自分の言葉としてお話が構成され、一つのエピソードの誕生となるのです。

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もし、好きな絵本は何?と、問われたら、あなたは絵本の題名か主人公を答えることくらいはできるかもしれません。そして、絵本の思い出は?と問われても、人の脳は瞬時に記憶が蘇るほどには働いてくれないようです。ところが、絵本にまつわるエピソードはありますか?と問われると、脳は、絵本を映像化するように動き始め、脳の働きが柔らかくなるようです。面白いことに「エピソード」とは、人の心と脳を柔らかくする言葉なのかもしれません。

 

書籍業界では、電子書籍の拡大がある中で、紙の書籍は2021年に15年ぶりの増収となり、その主役は児童書で、絵本は全出版の約29%を占めています。この分析から想定すると、医療従事者である私たちが、絵本の分野で活動できると考えています。

 

私が注目するのが、「サイレントブックス」です。絵だけの絵本が「サイレントブックス」ですが、私は「サイレント・ピクチャー・ブックス」と言うことにしています。この普及により、絵本の絵の見方が「絵を読む」に変わり、絵本を自分だけの考えや言葉で表現するようになるのです。つまり絵本を見る人の創造性に変化が出ると考えています。「絵本は、絵と言葉が織りなす本」というこれまでの考え方を飛び越えるような革新的な絵本の世の中が来ると私は考え、絵本文化のビジネスモデルを求めているのです。

 

医療法人元気が湧く
濱野 良彦

 

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