わいわい塾

開催レポート

2014年1月 十二堂(株)えとや

2014/01/22

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「♪太宰府~ えとやの~ 梅の実ひじき♪」のTVCMでおなじみの、「梅の実ひじき」。太宰府を代表する新しいお土産を展開した、十二堂株式会社えとやの代表取締役 作本浩親さん、専務取締役 作本直子さん、営業企画主任 友藤由美さんにお越しいただきました。

なぜ、このような大ヒット商品が生まれたのか、「梅の実ひじき物語」を語っていただきました。

 

太宰府の海産物店を舞台にした商品開発物語

★なぜ、太宰府?
専門学校卒業後、35歳まで勤めた東京のファミコンの制作会社を辞め、今の会社を立ち上げましたが、食品に関しては全くの素人でした。前職でお世話になった方から、たまたま、五条駅前の店舗をお借りしたことが太宰府との始まりでした。
 
★なぜ、ひじき
何の仕事をするかも決めていませんでしたが、友人が営んでいた明太子屋の景気の良さを見て・・・。もともと海産物に興味があり、いりこ、鰹節、わかめなどを仕入れて販売を始めましたが、人から仕入れてものを売るだけということが面白くありませんでした。
せっかく起業したのなら、自分もメーカーになる!そして、だれも手を付けていない乾物は何かと考えた時、残されたものがひじきだったのです。
 
★“梅の実ひじき”の誕生 

100.JPGせっかくのひじきで、どんな商品にと考え、まずは、ご飯のお供になるもので、せっかく太宰府に店舗があるのなら、それをうりにした梅はどうかと考えました。

 
 
 
★“梅の実ひじき”の味は?
梅とひじきをどう掛け合わせるかは、苦労しました。試行錯誤の結果この味が生まれました。
調味液はその配合がたまたまおいしかったという幸運がありました。商品の科学的な根拠を得るために、販売を始めて検査機関にだしたところ、PH、水分活性、塩分等全て後付のように上手にできていたということがありました。おいしいものはそのような結果になるものかという思いもしたものです。

 

博多駅を拠点にした商品ヒット物語

095.JPG商品はできましたが、ロットが大きく、計算だと毎日100個を売らないといけない、でも、当時は妻と2人だけで無理、商品を某店舗に持参して、「太宰府えとやの梅の実ひじき・・・」を売ってもらえないかと交渉しましたが断られ、そうならば、自分たちで売ろうと思いました。ただ、五条の店では半径5㎞くらいの商圏でしかないと考えました。当時、お世話になっていた社長にお願いをして、マイング名店街の店の1メートル四方のエリアを借りることができました。そこで、妻が火金土日、朝の7時から夜の8時まで販売をしました。
  
★ターゲットはサラリーマン・その口コミで・・・
当時、駅で販売をする際、ネクタイをしたサラリーマンをターゲットに売るように妻には言っていました。博多駅で買った物を新幹線に乗って関西関東で広めてくれるから、また、男性が買うと、家族で食したら複数の人数がその味を知ることになると考えました。
販売が軌道に乗ったのは、「博多駅での販売で太宰府を売りたいのであれば、商品に太宰府という表記をしたほうがいい」とのアドバイスをもらった時、創業したばかりで余裕がない中、清水の舞台から飛び降りたつもりでシールを造り、パッケージに貼った商品の販売を始めてからでした。
そうなると今度は、注文が電話で入るようになったのです。3年位かかりましたが、博多駅で販売するより店舗へきていただく方や通販で注文をしていただくお客さんの方が多くなり、4年目に博多駅で販売するのを止めました。そのように、「梅の実ひじき」という商品を口コミで広げてもらったのです。

 

えとやと十二堂という名前について

十二堂の十二というのは、ある時、時計を見たら十二時だったのです。時間は十二で一回りするなと、一年も十二で一つ回るなと、干支も十二で一つ回るなと、十二という数字は回るから、回って円(縁?)ができて、人の縁とお金の縁ができるといいかなと思って、頭文字に十二とつけました。また、23画が良いということで、十二はそのまま画数にして、堂の字をつけました。
それは、個人商店の時につけたのですが、のれんに十二堂と書いても意味がわからないですから、屋号は十二にかけて「えとや」にしようとなりました。19年の9月に法人化したときに、眠っていた十二堂という名前を引き出してきて、社名を「十二堂株式会社」としたのです。のれんの屋号は「えとや」のままで、標準文字で登録商標をさせていただきました。 

 

試食タイム

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 試食は、会場で炊きあげたあつあつのご飯に「梅の実ひじき」、「辛子高菜ひじき」、「からかひじき」、「鰹ひじき」をそれぞれ混ぜ、一口大のおにぎりをラップに包んで、提供していただきました。
試食をしている時に、いろいろな質問が出てきました。

商品の開発の順序は?

最初は、「梅の実ひじき」で、二番目が「からかひじき」これは唐辛子を利かせていますので、最初は、「博多ひじき」という名前にしていたのですが名前を変えました。その次は「辛子高菜ひじき」です。高菜は、阿蘇の産山産の高菜を使っています。高菜は冬場に農薬を使っていない春高菜だけを使っています。その後が、「鰹ひじき」です。鹿児島の知り合いの鰹節屋から鰹節を仕入れて加工しようとしたのですが、鰹節には表面にかびがあるために、会社で加工すると鰹節からの菌を抑えることができませんでした。そこで、逆にひじきを鹿児島に送るからそこで調合してくれるようお願いをしました。"餅は餅屋"でのとおり、うまく対応ができたので業務提携をしてもらって、当社がプライベート商品という形で出させてもらっています。

売り上げの割合は?

A.「梅の実ひじき」が7割、今人気があるのが「鰹ひじき」で1割5分、残りはドングリの背比べです。

以前食べた時は辛かったが、今日の「梅の実ひじき」は甘いが、変わったか?

変わっていません。類似品があり、形状もはっとするくらい似ている物もあります。「太宰府えとや」の金色のシールが目印ですから、どうぞ、気をつけてください。

「からかひじき」は、何が入っているの?何の風味?

これにはシソが入っています。

甘みの成分は?

砂糖(7.3%)、甘味料のステビア(0.17%)を使っています。

えとやの商品を買う目印は?

パッケージは1種類しか作っていませんし、金のシールを必ず貼っています。

☆試食の感想

  • 「鰹ひじき」は甘い。→ 鹿児島の業者との提携でどうしても甘くなる。
  • 「からかひじき」は、食べると後から辛さがでてくる。・ 「梅の実ひじき」がおいしいと応えた人約8割、「からかひじき」は3割、「辛子高菜ひじき」は3割、「鰹ひじき」が4割。
  • 「梅の実ひじき」を初めて食べた人4名。おにぎりにしたらおいしい、ひじきは体にいいし食べやすい。
  • 全体に混ぜると甘めになるので、おにぎりの具としてまん中に入れるとよいと思う。
  • 愛用していて、食感がよくご飯がよく食べられる。
  • 梅とひじきの両方を食べたという満足感がある。
  • 海の物と山の物を一緒にという事でイメージがわかなかったが、とてもおいしい。

     

商品を作るに当たって

息が長く、リピートのお客様があるのは、「からかひじき」です。「からかひじき」のコンセプトは、唐辛子が辛いので10人に1人が好きになってくれればいいかなと、みんなが好きになってくれなくてもいいというつもりでした。特別なファンができてくれればいいと思っています。

なぜ、全国区に?

最初に、博多駅で販売しているときに大阪のお客さんが、商品を番組に推薦してくれ上沼恵美子さん、まどかひろしさんの深夜番組で取り上げられました。 店には1日5~6名くらいのお客さんしか来ないのですが、通販で関西から注文がどんどん来て、作っては大阪方面へ商品を出していました。口コミ注文で、関西へ商品を送っていたのが現状でした。その後、全国ネットのテレビの方で取り上げられ、関東で売れ出し、その後、九州で売れるようになったという経緯です。

何が良かったの?

自分の店の商売が成り立つようになるまでに、7年くらいかかりました。その時期まで、店番を一人おいているくらいで、妻と2人でやっていました。 その間、商品の仕込みやパッケージ等で睡眠がとれたという記憶が無く、5,6年間ぽっかりと空洞になっている感じです。 もともと、儲けるために始めたわけでもなく、サラリーマンにくたびれたので、商売でも始めようかというような感じでした。 気がついたら今のような状態になっていたとの実感です。 お客さんの近くにも、商品を売りに行きましたが、結局は、お客様が広めてくださったのです。

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ひじきや梅はどこのもの?

ひじきは韓国産です。 梅は、最初は山梨産、群馬産などを使っていましたが、震災で入手が困難になりました。特に、放射能被災前の塩漬けの梅を1年分確保するために奔走したり、その間、別の産地の梅の手配をしなくてはならない状況でした。 幸運にも、この時工場を建設中だったのですが、大分の方が工場に来られ、「梅の実ひじき」と書いてあるが、梅を使うのですかと、梅を売りに来られたのがきっかけで大分産を使うようになりました。 梅は、Y字カットにしてもらっています。梅の大きさにあまり違いがないように、それで歯ごたえ等を均一にしています。 大分産の場合、種が除去されておらず、指定工場で手作業で種を除いているため、十分に管理をしているつもりではありますが、たまに(3万パックに1個くらい)種が混入しているときがあります。これは、頭が痛いです。 最終的には人間の目がやはり確実です。従業員は、おかげさまで工場お店を併せて50名ほどいます。新しい工場は、品質管理を徹底しようと作りました。

パッケージに高級感を出してみては?

木箱入りもありますが、これはあまり売れません。パックは、単価が割に高い物です。また、贈り物にもなればよいし、家庭用にもなればよいとの思いでパッケージは中間をとったといういきさつがあります。包装紙で包めば贈り物になるし、そうでなければ家庭用等に対応できる。

要冷蔵でどのくらいもつ?

36日を設定しています。お客様のところに届く日数を除いて30日と考えています。 作った商品は抜き取り検査をしますが、細菌検査で結果がでるのが2日、出荷できるまでに2日、関東方面では2日かかりますので、届いて30日と考えています。 冷蔵保存をお願いしていますが、温度変化が激しいと痛みやすいので、10℃以下、一定温度のところで大切に扱ってくださいという意味です。また、風味の劣化等を防止する意味もあります。

新商品のお試し

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わいわい塾の参加者に意見を聞きたい「山椒じゃこひじき」と「加ト淳ラーメン」「山椒じゃこひじき」は、当社が佃煮のラインをもっていないので、岐阜のメーカーさんとタイアップして作った物です。山椒ちりめんの消費は関東が多いので、当社で作ると甘めの商品になってしまうので東方面のメーカーさんと一緒にやって、関東風の醤油にしています。佃煮として常温保存でいく予定です。

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ラーメンは、RKBラジオのホークス花の応援団という番組で出ている「加ト淳」という私の友人が提案して、このラーメンに至りました。 去年、大手メーカーさんが袋ラーメンでインスタントなのに生麺みたいなラーメンを作られて、今度は別の大手メーカーさんもそれに追随して生麺みたいな物を作っています。

 

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僕は、袋ラーメンはそれで一つの文化があるのではないかと思っています。現在、袋ラーメンは、安売りの代名詞のようになっており、その様子に対し、「加ト淳」と気合いを入れたラーメンを作ってみようかという話になりました。麺太のど豚骨です。また、ノンフライ麺が主流の中、ラードであげています。完全に逆行していますが、これでどや!という事です。

「梅の実ひじき」が売れ出したときに、類似品がたくさん出て、追随されたことがあまりいい気分がしなかったので、生麺が出たならば、従来型の麺ではどうかと考えました。 プロジェクトを立ち上げて7ヶ月で完成させました。ターゲットは、ホークスが好きな人に売ろう!(笑い)

大きなメーカーは幅広くみんながおいしいという商品を提供することができるが、小さいメーカーは、10人中2人くらいがおいしいと言ってくれ、リピートしてくれるような商品を作ることで、意義がある?と思っています。幸い、当社は「梅の実ひじき」というある程度皆さんがおいしいと言ってくれる商品をもっているので、他の商品については、そのようなこだわりをもちたい。それを根強くやってきたいと思っています。

今後は?

4月から消費税が8%になります。各企業さんは、量を減らしたり、値上げをしたりといろいろな方策を検討されていると思いますが、えとやは、商品を開発しながら、一つずつ戦略的に販売をしていく中で、乗り切っていく必要があると考えています。

当社は、「梅の実ひじき」を中心に偏った商品を作っています。おしなべてみんながおいしい、好きよりも、誰かが数人の人が好きになって離れない商品、根強いファンがいるような商品を作りたいなと思っています。

販売店は?

西鉄五条駅前に五条本店、宰府店(太宰府天満宮側)、百貨店の地下(大丸、三越、岩田屋)博多阪急地下、マイング名店街、キヨスク2号店、高速道路基山パーキング等で取扱っています。

参加者には、「梅の実ひじき」「からかひじき」「加ト淳ラーメン」をお土産に頂き、皆さん、ニコニコ顔で帰られました。

<感想など、アンケートの声>

  • “ひじき”に目を付けたところがお見事
  • 「山椒じゃこひじき」は、おいしくいただきました。
  • 何で起業するのか決まらないままでの脱サラですが、結果的に考案を重ね周りの皆さんにも助けられ、福岡の歴史ある太宰府の名品となり、明太子、辛子高菜に次ぐ手土産ができたことは、選ぶ側には楽しみが増えた気がします。
  • ひじき、ラーメンにしても、商品開発の発想がおもしろく、センスがおありだと思います。
  • こんにゃく、きのこを入れてヘルシーな商品をお願いします。
  • 博多駅で販売されていた頃のお話が印象的でした。博多駅が原点で全国に広まっていったのですね。おいしい物はやはり口コミで地道に販売していくことで伝わっていくのだと思いました。
  • や~よくここまできたのか!と感じた。35歳までの人生と脱サラ後の人生。こんな方は本当に数少ないものですよ!
  • たぶんご苦労があった筈でしょうが、苦労話はサラリとされ、知らないうちに成功があったような説明は大変好ましく聞くことができました。
  • 試行錯誤しながら、製品化していった経過がよくわかりました。
  • 山椒じゃこひじきは、ひじきの甘さが山椒の味で上品にしめられた感じでとてもおもしろい味でした。
  • いろいろと研究心をおもちのお二人ですので、今からも、すばらしい商品ができる事と存じます。しっかり応援していきたいと思います。
  • 梅の実ひじき、大好きでしたが、今日お話を聞けてもっと好きになりました。
  • ひじきを中心にこだわりの商品がよかったです。マーケティング方法に興味がもてました。
  • ひじきの感想や梅のかりかり味、努力が製品の成功と思います。
  • 細菌検査をしているので、安心安全だと思った。
  • 梅の実ひじきはおみやげに頂いた時、びっくり、すごくおいしく身体にいいしすごく気に入り、それからはまりました。定期的に買っています。
  • 社長ご夫婦が二人三脚で試行錯誤を繰り返しながら、梅の実ひじきを作られたという話に感動しました。
  • 新製品をいろいろいただきましたが、やはり、“梅の実ひじき”が一番飽きがこず、美味だと思いました。
企業情報

■十二堂株式会社 えとや

福岡県太宰府市五条2-6-31
TEL:092-924-0382  FAX:092-924-7379