わいわい塾

開催レポート

2014年7月 シャボン玉石けん(株)

2014/07/16

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本日のわいわい塾は、北九州市で無添加石けんや洗浄剤の製造・販売をしているシャボン玉石けん株式会社です。人にも自然環境にも優しい無添加石けんのパイオニア企業です。

 シャボン玉石けん株式会社 代表取締役社長 森田隼人様

 

☆シャボン玉石けん株式会社の歴史

spurezen.jpg1910年、祖父森田範次郎が炭鉱の町、若松で日用品や雑貨を扱う「森田範次郎商店」を創業。採掘された石炭を日本各地に輸送するため、石炭の積み出し港として当時は人もお金も集まっている地域でした。石炭を扱う人たちの衣類の汚れを落としたり、風呂屋もたくさんあったため石けんがよく売れ、商売は順調でした。

若松から小倉へ場所を移し1960年代には父の森田光德に代替わり。その頃、家庭にも洗濯機が普及し、合成洗剤が一般的に使われるようになっていました。「これからは合成洗剤の時代が来る」と他社に先駆けて合成洗剤を扱うようになり、業績を伸ばしていきました。

 

当時、国鉄(現JR)の門司鉄道管理局にも車体洗浄用に合成洗剤を納めていたのですが、「合成洗剤で洗うと錆が出やすい。天然油脂で作る無添剤の石けんを作ってもらえないか」という依頼が入り、試行錯誤を重ねて当時のJIS規格を上回る、高純度の無添加の粉石けんを作りました。完成した無添加の石けんで体を洗ってみたところ、長年の肌荒れに悩んでいた父の湿疹がきれいに治りました。

「合成洗剤が肌荒れの原因だったのかもしれない」

「身体に悪いとわかった商品を売るわけにはいかない」

と一大決心をし、1974年全面的に無添加の石けんの製造・販売に切り替えました。70年代は、化学物質は「科学の力」・「新しい」というイメージで、合成洗剤は大変良く売れていました。現在に比べて環境問題の意識もあまり高くありません。反対に石けんは古くさいイメージであまり売れていませんでした。月の売り上げが、無添加石けんに切り替えると、1%以下まで落ち込みました。それから17年間赤字経営が続きましたが、地道に石けんの良さを伝えていき、国内でも環境問題が一般の人たちにも広がり始めたこともあり、ようやく18年目で黒字転換することが出来ました。

無添加の石けんの製造・販売に切り替えて今年で40周年です。

シャボン玉石けんの無添加石けんの製造方法のこだわりはこちらをご覧ください。

http://www.shabon.com/learn/noaddition02.html

石けんの歴史 合成洗剤の歴史 

ssyatyousan3.JPG「石けん」の起源は、今から5000年から1万年前。動物を焼いた時に落ちる油脂と、それを木で燃やしてできる灰(アルカリ)が混ざってできた、土や泥のようなものです。それで手などを洗ったら汚れがよく落ちたため、人々が使い始めたと言われています。今でも石けんは、牛脂やパーム油、ひまわり油など天然油脂とアルカリを反応させて作られています。

一方、「合成洗剤」は、第一次世界大戦中、石けんの原料となる油脂が不足、その代用品として石油が使われ「合成洗剤」が開発されました。第二次世界大戦中に、アメリカで工業化され大量生産できるようになり、日本では戦後の高度経済成長期に、家庭用洗濯機の普及に合わせて一気に広がりました。

 「石けん」と「合成洗剤」は同じく汚れを落とすものではありますが、もともとの原料や製法がまったく違うものなのです。

無添加の石けんと合成洗剤の違い

ssyatyousan3.JPGシャボン玉石けんの「無添加石けん」は、天然油脂を原料とし、蛍光増白剤や酸化防止剤、着色料、香料等を全く使わない純粋な無添加石けんです。石けんの排水は、短期間のうちに水と二酸化炭素に生分解され、カルシウムイオンやマグネシウムイオンと結合して石けんカスができます。その石けんカスは微生物や魚のえさになり、再び自然に帰ります。人にも自然にも優しいものなのです。

 一方「合成洗剤」の主成分は石油でできた「合成界面活性剤」が主です。「人体に影響がない位微量である」とか「現在は有害であると断定されていない」となっていますが、化学物質であることに変わりなく、いつ人体や自然環境に影響が出るか分かっていないものがほとんどなのです。石けんをといた水槽と合成洗剤をといた水槽の魚の実験では、石けんの水槽の魚は、石けんカスで濁った水の中で元気に泳いでいたのに対し、合成洗剤の水槽の魚は、えらの細胞が破壊され死んでしまいました。やはりこのような危険があるものは排水として川や海に流すのは良くないのではないかと考えます。

◎「無添加」とは

「無添加」と言えば体にやさしく自然環境にも良い物というイメージ。

しかし、現実には「着色料」など何か一つでも入っていないのであれば「無添加」と表記することが可能です。ですから、無添加と書いてありながら、合成の添加物がたくさん入っている物がたくさんあるわけです。シャボン玉石けんでは「無添加とは主成分以外は何も加えていないこと」と定義していますので、石けんの成分は石けん素地100%です。食品を選ぶ時と同じように、洗剤を選ぶ時にも、パッケージの裏の成分表示をじっくり見て、その商品の主成分は何かをよく見て選んでほしいと思います。

☆グループワーク

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シャボン玉石けん製品を実際に実際見ていただき、疑問点などについて話し合っていただきました。

 

 

 

合成洗剤は何が悪いのですか?

水と油は界面張力が働きあうので混ざり合わないのに、なぜ石けんで汚れが落ちるのかというと、石けんは天然の界面活性剤だからです。界面活性剤はこの界面張力の力を大幅に弱める効果があります。天然の界面活性剤は「石けん」だけ。石けん以外の界面活性剤を合成界面活性剤と言っており、これが環境や人体に悪影響を与えることがわかっています。この合成界面活性剤は肌にしみこむ力があるため、着色料などしみこむ力がほとんどないものも一緒に肌にしみこんでしまうのです。

  • 合成界面活性剤

使用した合成界面活性剤は、洗剤については家庭用品品質表示法で、洗顔料やシャンプーは薬事法に基づいた表示が必要です。洗剤に使われているラウレス硫酸ナトリウムは洗顔料などに使われているアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムと同じもので、規制されている法律によって表示名が変わるのです。

成分が同じなので、洗剤で顔を洗っているということになるわけです。

固形の石けんと液体の石けんの違いは?

石けんは油脂にアルカリを混ぜてできており、そのアルカリの部分が「苛性ソーダ」であれば固形、「苛性カリ」であれば液体になります。

石けんは必ず弱アルカリ性で、汚れを落とすとしみこむ力がなくなるため、川に流れ出ると薄まり、無力・無害化されます。美人の湯などと言われる温泉も弱アルカリ性で、皮膚の余分な脂や汚れを落とすのでつるつるしっとりした肌になります。

シャボン玉石けんはやはり少し脂っぽい匂いがする。いい匂いの石けんがあったらいいのに。

原料が油なのでやはりその匂いが若干します。天然の香料もありますので、それを入れたらどうかとのご意見はいただくのですが、今のところそれをやる予定はありません。植物由来というとなんとなく良いイメージがあるかもしれませんが、草でも肌がまける人がいるように、植物だから必ず安全というものではないと思っています。「どこの石けんも使えなかったがシャボン玉の石けんは使える」という方がいる限り、そんな方々の受け皿的な存在でいたいと思っています。

液体の石けんもありますので、お客様自身でお気に入りのエッセンシャルオイルを一滴垂らして使うなどの方法を提案させてもらっています。

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他社の無添加シャンプーとシャボン玉の無添加シャンプーの違いは?

無添加の定義が大きく違います。合成界面活性剤などが入っていても香料や着色料などが入っていなければ「無添加」と表示することは可能なのです。

 

  • 他社の無添加シャンプー全成分

水、DPG、コカミドプロピルベタイン、ココイルグルタミン酸2Na、スルホコハク酸ラウレス2Na、グリセリン、セテアレス-60ミリスチルグリコール、トリイソステアリン酸PEG-160ソルビタン、ココイルグルタミン酸Na、PCA-Na、コハク酸ジエトキシエチル、ポリクオタニウム-10、クエン酸 

  • シャボン玉の無添加シャンプー全成分

水、カリ石ケン素地だけ

商品の裏の成分表示を見れば違いはすぐにわかっていただけると思います。

広く商品を知ってもらうためにもっとコマーシャルなどに費用を投入してみては?

コマーシャルは消費者の購買意欲を高めますがコストがかかります。そこで、対面的な説明を地道にやっていくことと、メッセージを発信するための新聞広告を利用しています。

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洗濯洗剤を使っているのですが、だんだん黒くなっているような気がするのですが。

合成洗剤のように持続力がないので、汚れを落とすごとに洗浄力がなくなってしまうのですが、汚れの具合によって洗剤の量を調節してもらえば、洗浄力は強いです。合成洗剤には蛍光増白剤が入っており、洗うごとに買った時よりも白くなっています。

石けんは消しゴムであるとすると、蛍光剤は修正液(上から白く染める)のようなものです。

液体石けん、個体石けんどちらも抗菌効果や、除菌効果はあるのですか。

シャボン玉台所用液体石けん及び固形石けんはスポンジ除菌の効果があります。 スポンジ除菌については、洗剤・石けん公正取引協議会で定められた試験方法により、 一定の基準をクリアしています。 その他の石けんに関しては、こちらの試験を実施していませんので、スポンジ除菌 を謳う事はできません。 ただし、成分は同じ・脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウムです。 ※化粧石けんの場合の成分は、「石ケン素地」「カリ石ケン素地」という表記に なります。

学校や病院等でシャボン玉石けんは使われているのですか。

使われています。 主に、手洗い場でのハンドソープが使われています。 また、福岡市の学校給食の現場でも食器洗いとして使用実績があります。

浴用石けんを食器洗い石けんとして使っていいですか。

使用しても構いません。 理由は同じ石けんの成分だからです。 ただし、法律の管轄の違いで成分の表記方法が異なっています。

浴用石けん       =石ケン素地

台所用せっけん固形タイプ=脂肪酸ナトリウム

ボディソープや石けんは、他社のものと比べて泡立ちはどうですか。

遜色はありません。 ただし、洗うものの汚れ具合により泡立ちは異なります。 例えば、泥作業をした手を洗う場合ときれいな手を洗う場合では同じ 石けんの量でも泡だちが異なります。

今後の展開

「健康な体ときれいな水を守る」という理念の下、無添加にこだわって40年やって参りました。

香料・着色料・酸化防止剤・合成界面活性剤を使用していないシャボン玉の無添加石けんは、赤ちゃんからお年寄りまで、みんなが使えるやさしい石けんをお届けするために、無添加のパイオニアとして石けんづくりに励んでいます。

石けん系消火剤の開発という新たな取り組みも始めました。消火活動においては水が基本でしたが、少量の水で早期消化できる消火剤を使った消火活動に移行すると思われます。

シャボン玉石けんのファンをどんどん増やしていきたい。そうすることで自然も人もきれいになっていったらいいなと思っています。

<感想などアンケートの声 印象に残った点(一部)>

  • 「健康な体ときれいな水を守る」という会社の基本理念をじっくりお聞きし、安心した。
  • 体と環境に良い商品作りを大切にしているところがとても良い。この取り組みが広く知れ渡ってほしい。
  • 売り上げが減っても辛抱して良い商品づくりを継続されてきたことに感激した。ずっと使い続けます。
  • 一昨年工場見学に行きそれ以来愛用しています。
  • 合成洗剤とシャボン玉石けんを使った魚の実験にショックを受けた。合成洗剤の環境に与える影響がよくわかった。早速シャボン玉の商品に変えたいと思う。
  • 歯磨き粉の商品の話を聞きたかった。
  • なぜシャボン玉石けんの石けんは無香料なのか、説明を聞いて納得。ブレずに企業理念を貫いてほしい。
  • 石けんに対して改めて興味がわきました。
  • 若い人が手に取るような容器のデザインを考えてはどうか?将来を担う若い人にも使ってもらいたい。
  • 毎日使用するものだから、これからは裏面の成分表示をきちんと見て選ぶようにしようと思った。
  • 洗剤に含まれる蛍光剤が、白色を上から塗っているということを初めて知りました。
  • 無添加=合成洗剤ではない」というのが間違いだと初めて知りました。
  • 「無添加」とは何か。大変面白く興味のある時間でした。
  • シャボン玉石けんには石けん以外にこんなにたくさんの商品があるとは知らなかった。ぜひ使ってみたい。
  • これまでは洗剤はCMを見てイメージだけでついつい買ってしまっていた。これからは商品の裏をしっかり読んで選びたいと思う。

 

企業情報

シャボン玉石けん株式会社
http://www.shabon.com/
〒808-0195
北九州市若松区南二島2-23-1
TEL:093-701-3181
FAX:093-791-7250