わいわい塾

開催レポート

2018年5月 (株)まんてん

2018/05/28

今回のわいわい塾は、佐賀市から ㈱まんてん さんに来ていただきました。同社は、栄養価が高く美味しい「ごま」を、安全・安心に提供することを企業理念としています。昔から使われてきた「Open sesame!(開けごま!)」という言葉。その意味は「幸せの扉を開きましょう」だそう。背景となっているごまの効用などをお聞きしました。

 

 

 

 

 

 

ごまという植物

実際のごまを持ってきていただきました。ほとんどの参加者は見るのが初めてです。それもそのはずで、日本で消費されるごまの99.9%は輸入されていて、栽培風景を見ることはほとんどありません。一年生植物で、花のあとに鞘をつけ、乾くとはじけて、ごまの小さな粒が出てきます。
ごまが出現したのはアフリカの中でも赤道直下のあたりで、その後、中東、中国、朝鮮半島を通って、日本にやってきたのではないかと言われています。縄文後期の遺跡から種子が見つかっており、平安時代の「延喜式」という書物には、ごまのお菓子が取り上げられています。貴族や僧侶など限られた人たちだけが食べていた時期もありましたが、今では日本食の素材として欠かせない存在になっています。

 

 

ごまの栄養

約50%は脂質ですが、主に身体によい不飽和脂肪酸のリノール酸とオレイン酸です。リノール酸は食品から摂取しなければならない必須脂肪酸であり、オレイン酸とともに、血中コレステロールの上昇を抑える優れた働きがあります。コレステロールは含まれていません。
約20%は良質なタンパク質で、アミノ酸バランスが良く、体内で合成されない必須アミノ酸の中でもメチオニンやシスチンの含有量が多いのが特徴です。メチオニンは、細胞の生理代謝上どうしても必要で、肝臓機能を正常に保ち、血中コレステロールを下げる働きもあります。
その他、ビタミンやミネラルも豊富に含みます。特に、セレン(セレニウム)は抗酸化作用があり、ごく 微量でも細胞の代謝を活性化する働きがあります。鉄分やカルシウムもたくさん含みます。
また、セサミンに代表される『ゴマリグナン』というゴマ特有の成分は、元気を保つ効果が期待できるとして注目されています。


ゴマリグナン

  • 脂質の酸化を抑える
  • 脂肪酸の代謝を高める
  • 肝機能を向上させ解毒作用を高める
  • 活性酸素を抑えて抗酸化作用を高める
  • ビタミンEの抗酸化作用を高める

 

このように人間にとってさまざまな嬉しい効果のあることが、「Open sesame!(開けごま!)」という言葉が「幸せの扉を開きましょう!」というメッセージとなる背景にあるようです。
ちなみに、ごまの抗酸化作用については古来よりよく知られており、古代エジプトの墓から発見されるミイラには、永久保存の願いをこめてごま油が塗られていたそうですよ。

 

 

「まんてん」のごま

まんてんでは、ごま製品を少量ずつ生産しています。大量生産する他社と違って、水洗熱風処理をしないので表面にキズがつかず、ごまに含まれる成分や味、香りの流出を防ぎます。また焙煎の際には、ごまの特徴に合わせてその日の温度・湿度で焙煎時間を調整するので、均一な焙煎が可能となります。
「すりごま(白)」は、2003年から2018年まで16年連続で、モンドセレクションの最高の賞である「最優秀金賞」を含む金賞以上を受賞しています。すりごまでは世界で初めてです。黒ごま油「琥珀」も、2005年に最高の賞である「最優秀金賞」を受賞しました。

 

 

ごまの生産地

白ごまはアフリカや中南米、中国など世界各地で作られています。黒ゴマはミャンマーやタイ、ベトナムなど東南アジアのみ。金ごまはトルコのみで栽培されており、その希少性から若干値段が高くなっています。栄養成分にほぼ違いはありませんが、皮の色が違うぶん、色素に含まれるポリフェノールなどが若干変わります。また、味や香りも異なるので、好みで使い分けてください。

 

 

 

 

日本での生産と、佐賀「鍋島小紋ごま」の復興

和食でよく使われるごまですが、日本での生産はごくわずかです。現在世界で生産される4万tほどのうち、100tあるかないかで、そのほとんどは鹿児島県の喜界島で栽培されています。
実は、まんてんの地元・佐賀でも、江戸時代には盛んにごまを栽培していました。特有の形をした鞘を輪切りにした様子を図式化し、鍋島藩の裃に使用していたほど、身近な存在でした。

 

 

まんてんではそのことを知り、一度途絶えてしまった佐賀の地ごまに「鍋島小紋ごま」と名を付けて、復興に取り組んでいます。調べてみると、「鍋島小紋ごま」は、味・香りがまろやかで甘味があり、セサミンの含量が多いことがわかりました。

地元農家や市民団体の協力を得て生産量を増やし、昨年には収量がようやく1tに達しました。さらに栽培を増やして商品化を進め、佐賀のブランドとして育てていきたいと考えています。

 

参加者との質疑応答

ごまは酸化しにくいということを初めて知りました。

サラダ油を放置しておくと、酸化が進むにつれて重量が増えていきますが、ごま油はほとんど変わりません。酸化による味の劣化がないので、ごま油で天ぷらを揚げる高級店もありますね。一般家庭でも、サラダ油にごま油を混ぜておくと酸化しにくくなるので、おすすめです。

おすすめのごまの食べ方は?

ごまの皮は消化されにくいので、栄養を考えると、すりごま・練りごまがおすすめです。また、大豆のたんぱく質に足りないアミノ酸を持つので、豆製品と一緒に食べると理想的。豆腐にごまドレッシングをかけたり、豆乳にすりごまを入れたりするといいですね。肝機能を高めてアルコール分解をスムーズにするので、お酒を飲む前に食べるのもおすすめです。

ごまの栄養は熱に強い?

気にしなくても大丈夫です。ただ香りは温めると抜けてしまうので、香りを楽しみたい時は最後にかけてください。

美味しいし、栄養も摂りたいけれど、入れ歯にはさまってしまいます。

練りゴマがおすすめです。栄養も味もしっかり楽しめます。

練りゴマを置いておくと分離してしまいます。そうなっても品質は大丈夫ですか?

問題ありません。混ぜてお使いください。まんてんでは、パウチ入りで販売しています。袋の外から揉むと、簡単に混ざります。

ごま油の中には透明なのもありますね。あれはどういうものですか?

ごまを焙煎しないで搾油したものです。ごま特有の香りが要らない時などに使われます。ただし、ごまの成分の中には、焙煎によって抗酸化作用を増すものもあるので、栄養面から言えば、茶色くなったごま油の方がより優れているということは言えます。

ごまとごま油では、栄養が違いますか?

ごま油は搾ってカスを取り除いているので、ほぼ脂質のみ。ただし、抗酸化物質は脂溶性で、ごま油にしっかり溶け込んでいるので、ごま油でも摂ることができます。カルシウムなど皮に含まれる栄養は、いりごま・すりごまの方が摂れます。

感想などアンケートの声 (一部)

  • 少量ずつ焙煎するなどしているから、すごく香りが高くて美味しいんだと納得した。
  • ごまは、美容と健康のための最強の助っ人。
  • 色によって栄養に差がないことがわかって参考になりました。
  • ごまは酸化しにくいということと、歴史がよくわかりました。毎朝大さじ山盛り1杯を入れたスムージーを作り飲んでいます。おかげで骨密度130%、筋肉量30才でした(ちなみに今71才)。
  • ごまは身体に良いと聞くので、いろんな料理にかけていましたが、意外にも国内産は少なく、海外産99.9%とは驚き!そして、わずかな国内産が九州の喜界島産ということに感激しました。
  • 髙尾社長がごまに惚れ、人のために役立てようという思いが、佐賀のごまの生産量を1トンまで拡大してきたのでしょう。これからも安心安全な商品作りを行って欲しい。
  • 黒ごま、白ごま、金ごまを試食したら、それぞれ味が違うのがわかった。
  • ごまには抗酸化作用のある成分がたくさん含まれていること、まんてんさんが誠実に商品化されていることがよくわかりました。
  • 「Open sesame!」が「幸福の扉を開けましょう!」の意味で昔から使われているということが印象に残った。五臓、肌、脳に良い。家族と一緒に毎日10g摂るよう心がけたい。
企業情報

株式会社まんてん
住所: 佐賀県佐賀市鍋島町森田964番地2号
TEL: 0120-37-5017
HP : http://www.manten-jp.com/
まんてんオンラインショップ:
http://www.manten-shop.com/