わいわい塾

開催レポート

2018年4月 (株)オーレック

2018/05/02

今回は、今年で創業70周年を迎える㈱オーレックさんに来ていただきました。「世の中に役立つものを誰よりも先に創る」をモットーに、農作業の負担を軽くする農業機械の設計開発から生産まで、一貫して行っています。また、食や農業を見つめ直すきっかけを提供したいと、家庭菜園愛好家のためのサイト運営などもしています。

 

 

 

 

 

 

企業コンセプトは「草と共に生きる」

有機農法の一つに、草生栽培(そうせいさいばい)という方法があります。田畑の雑草を定期的に刈り込んで下草として活用するもので、地面が草で覆われるので土壌を保全でき、尚且つ、刈られた草が有機物の供給源となります。草の力を活かし、大地の力を引き出す方法です。
ただし人の手で草を刈ってこれに取り組もうとすると、大変な労力が必要となります。オーレックが開発し、国内シェアNo.1を誇る自走式草刈り機は、草刈りにかかる労力と時間を大幅に軽くし、草生栽培への取組みをぐっと身近なものにしました。

 

 

 

 

 

「百見は“一感”に如かず」ユーザーとの対話から生まれるモノづくり

「百見は“一感”に如かず」とは社長の言葉です。現場で自ら体感することに勝るものはないという意味で、オーレックの社員は各地のユーザーのもとへ実際に出かけて行きます。困りごとや要望を聞いたり、一緒に作業をして気づいたりしたことを、製品づくりに反映させています。
例えば米作りでは、暑い時期の除草が大きな負担となります。そこで、畔道の上と側面の雑草を同時に刈る草刈り機を開発しました。また田んぼの中の雑草も、稲を傷めずに取り除けるよう工夫をし、14年かかってようやく水田除草機の開発に成功しました。「除草剤を使わないことで米の付加価値アップにつながる」「除草の労力が減るから、有機栽培の規模を拡大できる」と農家から喜ばれています。

 

 

オーガニック志向の強いEUでも

EUは消費者のオーガニック志向がとても強く、農薬の使用についても厳しい規制があります。オーレックの農業機械はここでも数十年にわたって愛用されています。フランスのワイン産地、シャンパーニュやボルドーなどのブドウ園では、コンパクトな乗用タイプの草刈り機が大活躍。あの「モエ」や「ドンペリ」のブドウ作りを支えています。
他にもアジアやオセアニアなど30か国で使われています。大変な農作業の負担を、少しでも軽く、安全にと願う気持ちは、どの国においても変わりはありません。

 

 

 

 

幻の野菜「すいおう(翠王)」との出会い

農業の分野でも高齢化が進んでいますが、農家の方に会うといつもその若々しさに驚かされます。理由を聞くと「自分たちが作った旬の野菜を食べているから」。野菜には人を元気にする力があるのだと感じます。
特に、サツマイモの収穫を助ける機械を開発する過程で出会った鹿児島の「すいおう」は、ビタミンAやポリフェノール、最近話題のルテイン、ビタミンKといった栄養成分が、ケールや大麦若葉に比べても豊富です。
サツマイモの仲間ながら芋でなくツルと葉を食べるもので、傷みやすいため市場にあまり出回りません。鮮度が一番なので地元周辺だけで消費されており「幻の野菜」と呼ばれますが、青汁に加工すればどこでも手軽に摂ることができるようになり、もっと広くたくさんの人に役立ててもらえます。畑の近くにある工場で、新鮮なうちに加工して販売しています。

 

すいおうに黒ゴマ・黒豆をプラスした「黒の薩摩青汁」抹茶とはちみつをプラスした「黒の薩摩青汁 抹茶はちみつ」と、乳酸菌をプラスした新製品の3種類を飲み比べました。
「くせが無くて飲みやすい」「お酒や牛乳、ホットケーキに混ぜても良いかも」などの声が聞かれました。

 

 

 

 

全国の家庭菜園愛好家が集う「菜園ナビ」

自分の手で何か育ててみると、育った野菜が大切に思え、またスーパーに並ぶまでの農家の苦労が身近に感じられるものです。農家に寄り添い、農業機械づくり一筋でやってきたオーレックとして、食や農業を見つめ直すきっかけを提供したい、と考えて始めたのが、家庭菜園愛好者のための「菜園ナビ」というサイトです。
「学ぶ・育てる・つながりあう」を合言葉に、野菜の知識が学べ、自分が植えた野菜の成長記録をつけることができます。また他のユーザーにアドバイスをしたり、もらったりと交流することもできます。プランター栽培や、キッチンで出来るスプラウト栽培など、初心者でも気軽に始められる内容もあります。
開設して5年が経ち、家庭菜園愛好者のサイトとしては国内最大級の1万8千人が利用しています。
サイト内でイベントの告知もできるようにしており、ユーザーが主体となって開くオフ会や勉強会などが全国各地で活発に開かれています。
登録、利用ともに無料です。

 

 

 

 

参加者との質疑応答

家庭菜園用の小型耕うん機も作られているんですね。

電動タイプなら音が静かなので、市街地にある市民農園でも気兼ねなく使えます。家庭用のプラグで充電して30分程度動かせます。折りたたむと軽自動車のトランクに入る大きさです。

 

 

 

 

 

 

「菜園ナビ」に花のコーナーはありますか?

菜園ナビが扱っているのは野菜だけです。ただ、「お花倶楽部」というコーナーを立ち上げたユーザーさんがいらっしゃって、全国各地のユーザーさんから、自分の地域の今の花の様子などがコメント投稿されているようです。ユーザーさん同士のこうした交流が盛んなのも特徴です。

感想などアンケートの声 (一部)

  • 九州から世界へ向けて頑張っている企業を知ることができ、嬉しく思います。農業は世界共通の産業。Made in Japanの技術力をアピールするのにふさわしい。
  • いつか野菜類の自給自足をしてみたいと思っているので、菜園ナビをのぞいてみたいと思います。
  • 自分で作物や花を育てる喜びを広げようとされていることは、大変よいことと思います。
  • 青汁には何が入っているか不安だったが、オーレックさんの説明を聞いて買ってみたいと思った。
  • コンパクトな農業機械は、農業に従事されている方にとっては、大変良いことだと思いました。
  • 海外でも使われている草刈り機に、日本の技術の高さを感じました。あまり知らなかった世界のことを知ることができました。
  • 家庭菜園をしているので、とても興味深くお聞きすることができました。私も草刈り機が欲しい。
  • 初めて聞く社名でしたが、地元・福岡から海外へも輸出され、海外の農地でも活躍しているのは素晴らしい。また、説明して下さった若い社員さんたちの農業を語る姿に感動しました。
企業情報

株式会社オーレック

福岡県八女郡広川町日吉548-22
TEL: 0943-32-5002(代)
オーレックHP:http://www.orec-jp.com/

菜園ナビ:http://saien-navi.jp/