わいわい塾

開催レポート

2015年6月 極東ファディ(株)

2015/06/30

今回は、コーヒーや業務用食品の卸、販売、カフェなどを展開されている 極東ファディの代表取締役社長の秋本修治さんにお越しいただきました。

秋本さんは、世界中のコーヒー豆を審査するCup of Excellence(COE)国際審査員や、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)理事を務めるなど、コーヒーのスペシャリストでもいらっしゃいます。

 

 

 

 

 

 

コーヒーは今、消費者が飲んで「美味しい」と感じるものへと大転換中

コーヒーは今、大きな変革の波、‟第3の波”の只中にあると言えます。

第1の波が来たのは、品質への関心が薄く消費者のコーヒー離れが急速に進んだ70年代。

第2の波は、苦味の強いコーヒーにたっぷりのシロップやクリームを添える、コーヒー味のソフトドリンクという新ジャンルが作られた90年代なかばに。

そして今、コーヒー本来の風味を楽しむスペシャルティコーヒーの時代、第3の波が来ているのです。 きっかけは、国連UNCTADとWTOの協同機関、ITCが1997年から2000年にかけて実施した、コーヒーの品質向上策「グルメコーヒープロジェクト」。

それまでの品評会は不味いコーヒーをはじくだけでしたが、このプロジェクトによって風味特性を評価する方式へ大転換しました。そのことによって、消費者が美味しいと感じるコーヒーがどのようなものかが、ようやく生産者に伝わるようになったのです。それに伴って、生産技術も進化しています。

 

コーヒーとは

コーヒーの生産地は、赤道をはさんで南北に25度ずつのいわゆる「コーヒーベルト」にほとんどが集中しています。中でもブラジルがコーヒー生産量の約3割を占めています。

 

コーヒーはただ暖かい気候であれば生育するものではなく、寒暖の差を好むので高地が向いているのですが、霜が降りたらだめになってしまうし、中米のように山間部が多い土地では機械が入りにくく、栽培は楽ではありません。

 

実は熟すと真っ赤になり、コーヒーチェリーと呼ばれます。

その実をむいて取り出した種子がコーヒー豆で、これを乾燥して焙煎することによって、コーヒーの特徴である色・味・香りが生まれます。

 

品種は大きく分けて2つ。

1つはロブスタ種といい、味に繊細さは求められないけれど病気に強くて育てやすく、主にインスタントコーヒーや缶コーヒーの原料に使われています。

もう一つは味わい深いけれど育てるのが難しいアラビカ種で、レギュラーコーヒーの多くがこちらの種です。

 

焙煎から2週間以内のコーヒーだけを販売

焙煎直後のコーヒーは、香気成分(アロマ)をたっぷり含んだ炭酸ガスを発生するため、もし真空パックにしたとすると数日でぱんぱんに膨れてしまいます。

 

極東ファディでは焙煎から2週間以内の新鮮なコーヒーしか販売しないので、真空パックにすることはできません。

この新鮮な豆を使ってコーヒーを淹れると、炭酸ガスをたくさん含んでいるために、お湯をそそいだときに粉がぷっくりと膨れます。

極東ファディではこれをアロマドームと呼んでいますが、このアロマドームこそ新鮮さの証。

良い成分を充分に引き出し美味しいコーヒーを飲むためにはコーヒー豆の鮮度はとても重要です。

また、コーヒーの美味しさを表す大事な指標の一つが酸味ですが、鼻に抜けたときの爽やかな明るい酸味が味わえるのも、鮮度の良いコーヒーならではです。

 

プロの下ごしらえを家庭で利用できるようにしたのが“業務用食品”

極東ファディのもう一つの柱が業務用食品事業です。

「料理は愛だと思う」という言葉をコンセプトに据え、業務用食品を家庭で取り入れてみてはどうかと提案を始めました。

 

今、家庭料理が二極化してとらえられていると思います。全て一から作るスローな料理と、冷凍食品やレトルト、インスタント食品の封を開けるだけのファストな料理です。

愛情を込めて家庭で一から作られる料理が一番美味しいのは確かですが、誰もが常にできるわけではありません。

かといって封を開けるだけになってしまっては、愛情の感じられない食卓になってしまいます。

そこで業務用食品を家庭で積極的に利用していただいたらどうかと考えました。

 

業務用食品とは、レストランのシェフなどプロが準備の時間を短くするために使うもの。美味しいことを大前提に、便利に使えるよう工夫されています。

これを家庭で取り入れるとは、例えばカレーなら、具を炒めて煮込むのは家庭で行い、仕上げにフォンドボーから作られた本格的な業務用ルーを利用するということ。

時間をかけずに愛情とひと手間をかけ、ホテルのカレーと変わらない美味しさを家庭で味わえます。

 

極東ファディが展開するカフェでは、店で実際に販売している業務用食品を利用したメニューをお出ししています。そしてご家庭で再現できるよう、そのレシピも公開しています。

 

自宅で美味しいコーヒーを淹れるために抽出体験

SCAJ認定コーヒーマイスター、全日本コーヒー商工組合連合会認定1級コーヒーインストラクターである、ファディ専属講師の田邉智裕さんが直接指導してくださいました。

 

①ペーパーフィルターをセット

②コーヒーの粉を量って入れる 1人分10g、2人分20g。ドリッパーの中でコーヒーの壁が厚くなると苦味が強くなるので、3人分、4人分からは少し減らしてそれぞれ28g、35g程度。

③コーヒーを平らにならす 大切なのは、お湯がコーヒーの中を通りぬける時間の長さ。コーヒーに傾斜がついているとお湯が早く流れてしまうので、ドリッパーの中で平らになるよう丁寧にならす。

④お湯を準備する 1人分あたり150cc。適温は95℃から98℃で、沸騰してから10秒ほど置くとちょうどよい温度になる。抽出に適した細口ポットを使うなら、沸騰させたやかんからポットに移すだけでちょうど良い温度になる。

⑤蒸らす 平らにならしたコーヒーの中心から、粉の表面に静かにのせるように、全体が湿る程度にお湯をそそいで、20~30秒待つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑥分量のお湯を注ぐ 中心かららせんを描くように、少しずつ外側にずらしながら ゆっくりとお湯を注ぐ。

全体にまんべんなくお湯が行き渡ったら、お湯を注ぐの止めて、コーヒーがサーバーに落ちるのを待つ。

粉がしぼみきらないうちに再び注ぎ始めるようにして、数回に分けて分量のお湯を注ぐ。

2度目以降は最初にできたコーヒーの壁を崩さないように気を付ける。壁を崩してしまうと、そこからお湯がコーヒーの粉に十分に浸透することなくフィルターを伝って下に落ちてしまうので、美味しい成分の抽出が充分できなくなるから。

⑦予定の量が抽出できたらドリッパーを外す。ドリッパーに残る白い泡はアクなので、それがサーバーに落ちてしまわないよう気を付ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

参加者との質疑応答

コーヒーを毎日飲んでも大丈夫でしょうか?

昔「コーヒーを飲むと胃がもたれる」と言われたのは、質が悪くて苦いだけのコーヒーだった時代に、砂糖をたっぷり入れて飲んでいたから。むしろ最近の研究では、コーヒーを飲むと体に良いことがいろいろあるとわかってきました。例えば脂肪が落ちやすくなる、ピロリ菌に影響を与えて胃がんが減る、肝機能を強化する力がウコンより強い、など。もちろん飲み過ぎてはいけませんが1日5杯くらいなら飲んでも大丈夫です。

ペーパーフィルターの値段は様々ありますが、味に違いは出ますか?

きちんと加工されていないペーパーフィルターは、コーヒーの悪い所はもちろん良い所もみんな吸い取ってしまいます。できれば専門店の商品が良いでしょうね。

無農薬栽培であることや、洗った豆であることで差別化を図っているコーヒーがありますが?

無農薬で作るには、病気や虫に強い原種に近づけるのが一般的です。そうなるとどうしても、今の消費者が美味しいと感じている種から離れてしまうことが多いです。またコーヒーは実をむいて中の種を利用する飲み物ですから、もともと厳しく検査されている農薬の残留についてはあまり気にしなくてもよいと考えます。コーヒー豆を洗うことについては、乾燥に神経を使っている立場からは、難しいことだと言わざるをえません。衛生的と考えることもできるかもしれませんし、価値観は様々だと言うことですね。

コーヒー豆を買ったらどれくらいで飲むのがよいですか??

焙煎後、どれくらい日にちが経っているかが重要。ファディの豆は新鮮なので、粉に挽かず豆の状態なら買われてから1ヶ月くらいは大丈夫。常温で缶など密閉できるものに保存してください。挽いた粉は密閉された缶に入れて冷凍庫で2週間、が美味しく召し上がれる目安です。他で買われるときも焙煎日を気にしてください。

 

お土産をいただきました!

 

 

感想などアンケートの声 (一部)

  • コーヒーを買う時、豆から買って鮮度の良いうちに飲む重要性を改めて知りました。
  • 淹れ方でずいぶん差が出るのがわかり、面白かった。紅茶党でコーヒーはあまり好きではなかったが、今日のコーヒーは美味しかった。
  • 自分で淹れたコーヒーにアロマドームが出来てうれしかった。鮮度がいかに大切か良くわかった。
  • コーヒー豆を購入した際、真空パックしていない訳がわかりました。 ・コーヒーの淹れ方一つで味の違うことが確認でき、自分の味を作っていけることがわかって良かったです。
  • 福岡銀行本店のお店をたまに利用させていただいているのですが、お店の方の対応がいつも気持ちがいいです。
  • 豆の種類や生産国について知らない事ばかりでおもしろかった。
  • コーヒーの淹れ方は知っていましたが、なぜそのように淹れるのかの理由がよくわかりました。
  • なんとまあ!!間違った抽出をしていたのだろうかと目からウロコの数々。今日からおいしいコーヒーが飲めるぞ。
  • コーヒーの淹れ方をきちんと知ることができ貴重な時間だった。今までは自己流で淹れていたので参考にしようと思う。数杯なら身体に良い影響がありそうとのことで、これからも安心して飲んでいきたい。
  • カフェをぜひ利用してみようと思いました。
  • 食品のお話も、もっと聞きたかったです。
企業情報

【極東ファディ株式会社】
北九州市小倉北区浅野3-6-6
TEL 093-541-2275

http://www.fadie.com/