2015年4月 (株)マルタイ 新社屋&工場見学
2015/04/03
2004年12月にスタートした「消費者と企業のわいわい塾」は、今回がちょうど100回目の開催でした。 記念すべきこの回は、超ロングセラー商品「棒ラーメン」を始めとする即席めんのパイオニア、(株)マルタイの新社屋・工場を見学させていただきました。 まずは製造工程を見学し、その後、原田浩社長からお話をうかがい、参加者の質問にも答えていただきました。
環境に優しい工場
2013年に稼働を始めた新工場は「環境に優しく、見て楽しめる」をコンセプトに作られたそうです。 「環境に優しく」は次のように実現されています。
①都市ガス設備などの導入によってCO₂排出量を削減 ②ガスコージェネレーションシステムや、LED照明、中水設備の利用などによる省エネ対応 ③太陽光発電や太陽熱温水システムの利用による再生可能エネ ルギーの有効活用 ④排水処理設備の導入による排水の再利用 。
見て楽しい工場
工場見学の入り口廊下には商品パッケージの写真がずらり。見慣れたもの、懐かしいもの、初めて見るものに参加者の話もはずみます。 ここ今宿の工場では「長崎皿うどん」用の麺を1日20万食と、全ての商品の粉末スープを製造しているとのこと。 佐賀・唐津の工場では「棒ラーメン」の麺を18万食、その他のカップ麺などの麺は、業務提携をしているサンヨー食品の飯塚の工場で作られるそうです。
ガラス張りの見学コースからは製造工程がよく見えます(残念ながら撮影禁止のため写真はありません)。
細く出てきた麺が、ベルトコンベアーで長いまま運ばれて、蒸すためのトンネルをくぐっていき、出てくると今度は1食分にカットされ油で揚げられます。つづいて大型送風機の風をしっかり浴びて冷まされ、スープの袋などと一緒に包装されます。 その後、賞味期限を印字され、その印字に間違いがないかのチェック、X線検査、金属探知検査、重量に異常がないかの検査を受け、次々と箱詰めされていきます。 自動化が進められており、清潔な空間に人の姿はあまりありませんでした。
各所に説明ボードや見本などが設置されていてわかりやすく、またコースの最後には簡単に参加できるゲームのコーナーもあり、子どもたちが来ても楽しく見学ができる工夫がされていました。
マルタイについて
見学後に会議室で、原田社長よりお話をうかがいました。 「昨年は赤字幅が予想より若干大きくなり、業績見通しを下方修正しました。といっても、新工場建設によって減価償却費が大きくなることはわかっていたことですし、増資もしたし内部留保もあるしで、決して深刻な事ではありませんでした。ところが、マスコミが「マルタイ過去最大の赤字!」と一斉に報道。驚きました。すると今度は、棒ラーメンを愛用してくださっている芸能人の方が、ブログで「みんなで救おう!」と呼びかけてくださったのを始め、多くの方が「マルタイ製品を買おう」とネットで取り上げてくださいました。棒ラーメンが昭和34年に発売されてから50年以上が過ぎ、皆さんにどれほど親しまれているか、もはや福岡の「ソウルフード」なのだ、と感じた一件でした。」
参加者と原田社長の質疑応答
ラーメン屋へ入ると「是非スープも飲んでください」と言われます。こだわりがそこに詰まっているからだと思いますが、即席めんとなると塩分が気になります
ラーメンは麺とスープが一体になったもの。スープにこだわるマルタイとしては、全部飲んでもらいたいという気持ちは、やはりあります。そこで、棒ラーメンの減塩に取り組み、塩分20%カットを実現しました。スープまで飲み干しても食塩相当量4.2gです。塩分の1日摂取目標は、日本の基準では男性8g、女性7gですからまだ少し余裕があります。来月福岡で行われる高血圧学会の減塩サミットにも「おいしい減塩商品」としてエントリーすることになりました。 ただし、実はWHOでは塩分の1日摂取目標を5gとしています。日本はこれからもっと気を付けていかねばならないということです。 新たに開発した「次世代棒ラーメン」は、食塩相当量を3.7gにし、麺の長さを20㎜短く、普通の鍋でも調理しやすくお子さんでも食べやすいようにして、さらに食物繊維を加えました。パッケージは一般公募で選ばれた方に描いていただいたものです。
減塩されたものは、おいしくないことが多いですが。
塩分を抑えるために一般的にとられる手法として、塩化ナトリウムを減らして塩化カリウムを増やすということをしますが、塩化カリウムを増やすとどうしても苦味が立つようになります。それをいかに無くすかがポイント。当社では、納豆のネバネバ成分でもあるポリグルタミン酸を加えることでカバーしています。 本当は、塩分をもっとおさえられないだろうかと、30%カット、40%カット、50%カットなども試行してみました。ですが30%を超えると味が変わってしまいます。いくら減塩ができても、美味しさが損なわれては意味がありません。今の技術では20%カットが限度であると見極め、味を守ることを選びました。
たくさんある商品の中で良く売れているのはどれですか?
1番多いのは長崎皿うどん、2番目はカップ入り長崎ちゃんぽん、3番目は棒ラーメンです。
現在販売されている商品だけで約70種類あるそうですが、社長は全て召し上がったのですか?
社長に就任して以降に出した商品は、発売前にみんな試食しています。
週にどれくらいの頻度でマルタイ製品を召し上がるんですか?
マルタイには、金の袋に入った「長崎あごだし入り醤油拉麺」と、銀の袋に入った「稗田の博多豚骨拉麺」という特別に思い入れのある商品があり、私はこれがインスタントラーメンの中では日本一おいしいと思っています。これを社員販売で箱ごと買って家に置いていて、土曜や日曜の昼に食べています。ちなみに「稗田」とは、研究所にかつて在籍した名物所長で、マルタイのこだわりスープの礎を作った人物の名前です。
*最後に記念撮影をしていただきました
*美味しいおみやげをいただきました
感想などアンケートの声 (一部)
- かつて会社に勤務していた時に棒ラーメンができ、即席にできてしかも本物の味がするので、共働きの婦人部は、女性の強い味方として、箱で取寄せていた次第です。本当にありがたいものでした。
- 昭和34年に発売された時、こんなにおいしいものがあるのかと思いました。びっくりしたのを覚えています。それから今まで何種類かいただきましたが、70種類くらいあると聞き、まだまだ食べていないのがたくさんあるなと思いました。これから食します。
- 社長が毎週食べておられるという、金、銀のラーメンを食べてみたいです。
- お米を切らした時、時間がない時に皿うどんを食べたくなります。
- 製造工程におけるオートメのすごさに感動しました。品質管理、衛生管理などしっかりし た取り組みがうかがえました。
- 皿うどんをうちでは「パリパリ焼きそば」と呼んでいました。母の作るパリパリは、野菜 もキノコも海鮮も入った豪華なもので、月に1回くらい作ってくれました。
- 皿うどんは、たくさんの野菜とあとは豚肉があればでき、部活をしていた子どものお腹を満たすのに、手軽で助かるメニューの一つでした。
- 太陽光発電等、自然エネルギーも利用して工場を運営していることを初めて知りました。
- 食品の安全・安心に最重点を置いた製造をされているのが良くわかった。以前の周船寺工場とは格段の差で、新工場建設は大英断です。
- 減塩に取り組んでいることを知って良かった。食べてみようと思う。
- お野菜が美味しくなる春、筍が出る頃、あさりが美味しい頃になると、皿うどんを食べたくなります。