2015年3月 (株)糸島みるくぷらんと
2015/03/30
糸島を代表する地域ブランド「伊都物語」。
中でも「のむヨーグルト」は、JALのファーストクラスや JR九州クルーズトレイン「ななつ星」で使用されるほど、おいしいヨーグルトとして有名です。
「酪農家の方々がこれまでどのように商品を育て、会社を育ててきたのか」「糸島みるくぷらんとの乳製品のおいしさは、どうやって生まれるのか」等、バター作りの体験や試食を混えて株式会社 糸島みるくぷらんと おもてなし課長 高田史代さん、営業部の国光功二さんにおいでいただきお話を伺いました。
酪農家の想いから会社設立 消費者交流から始まった「糸島みるくぷらんと」
昭和54年から始まった牛乳の生産調整のなか、「自分たちにしかできないこだわりの牛乳を、消費者に直接届けたい」という思いで、会社を設立し自主流通の道を探りました。
役員全員が幼少期に牛乳かけごはん(GKG)を食べて育ったという会社で、当初は、酪農家全員が交代で搾乳作業のかたわら、 試飲用の牛乳と住宅地図を片手に、福岡市や糸島市の住宅へ販路開拓に回りました。
こだわりの牛乳『伊都物語』の誕生
搾りたての生乳に近い風味を残すために、低温殺菌(63℃30分)で脂肪破壊を行わないノンホモジナイズの牛乳を作ることに決定しました。
伊都物語のブランド名は、九州造形短期大学、デザインラボの沼田浩一郎先生の協力のもと、酪農家が、ブレーンストーミングを行い、検討を繰り返して商品コンセプトを練り上げました。
様々なアイデアの中から、地域の歴史と自分たち酪農家の牛乳生産に対する想いを表現した、『伊都物語』に決定しました。
牛乳の6つのこだわり
漏れない容器に入れて強く振るだけで無塩バターができる自然そのままのおいしさ・・・ 低温殺菌ノンホモジナイズ牛乳「伊都物語」は次のようなこだわりを持って生産しています。
①自給粗飼料生産→安全・安心へのこだわりから、牛のエサは無農薬栽培した牧草や減農薬の稲わら等を中心に給餌しています。
②最高品質の搾りたて生乳を使用→徹底的に乳質にこだわり、最高基準数値の生乳を使用しています。
③毎朝集乳→通常、酪農家からの集乳は隔日ですが、「伊都物語」は厳選した酪農家から毎朝集乳し、より新鮮な生乳を使用しています。
④低温殺菌→通常の何倍もの時間と手間をかけて低温殺菌(63℃、30分)することによりカルシウムはもちろん、たんぱく質・ビタミン等の栄養素を損なうことなく殺菌し、生乳に近い栄養素や風味を保っています。
⑤ノンホモジナイズ→ホモジナイズ(均質化)とは、牛乳を加熱前に高圧をかけて放出し、脂肪球を小さくすることです。ノンホモ牛乳(伊都物語)はこのホモジナイズをしておりません。搾りたてに近い牛乳なので牛乳が苦手な方でも、喜んでお飲みいただけます。
⑥生クリーム・バターができる→ノンホモ牛乳は静置すると、牛乳の上部にクリームラインと呼ばれる天然の生クリームの層を作ります。クリームラインのできる牛乳はおいしいだけでなく、漏れない容器に適量入れ、強く振り続けると手作り無塩バターが作れます。
質疑応答の中で以上の説明をお聞きしながら、「伊都物語」の牛乳の試飲・実際のバター作りの体験をしました。
バター作り体験
各テーブルに準備されたバター作りキットを使って開始しました。
←キット
①ストローで牛乳の下層の部分を半分ほど試飲(上部に生クリーム層ができているため)
②キャップをつける。
③瓶を強く振り続ける(7分程度:手で瓶を温めるようにして振るとよい。)
説明を聞きながら瓶を振っています。→
容器の縁に塊が付着したり、さらにはバターの塊が浮いてきます。 味見をするとまさしく、無塩バター(とてもおいしい!)でした。
Q&A
なぜバターができるのですか?
牛乳中に含まれている乳脂肪は、たんぱく質の膜に包まれています。それを振ることによってたんぱく質の膜が壊れ、脂肪分が集まってバターができます。
普通の牛乳で、このようにバターを作ることができるのですか?
普通の牛乳では、この脂肪分を細かくしている(均質化:ホモジナイズ)ので、できません。脂肪球を加工していない牛乳であれば作ることができます。よりしぼりたての生乳に近い栄養素、風味を保った牛乳だからこそできます。
どのくらいのバターができるのですか?
牛乳の乳脂肪分は、3~4%ですので、それ以上のバターはできません。1本の牛乳からできるバターは、少量です。
バターを取った後の残りの牛乳は、どうなるのですか?
その牛乳が、いわゆる「低脂肪乳」になります。
この牛乳は、市販の牛乳とは香りが異なるような気がするのですが?
牛乳には、それぞれの牧場の味と香りがします。牧場では、いろいろな工夫をしながら乳牛を育てており、その成果が牛乳の香りとなります。
牛乳が好きで、かなりの量を飲んでいますが、アレルギー等になる恐れはないですか?
週に2~3Lの飲量であれば、全く問題はありません。牛乳には、いろいろな栄養素が含まれていますので、是非、毎日飲んでいただきたいです。
瓶と紙パックで違いはあるのですか?
保存状態等に違いはありません。紙パックの場合は、冷蔵庫に保管をしておくと、冷蔵庫内の臭いが牛乳に移ることがあります。
ヨーグルトのヒットそしてさらなる加工品開発へ
私たちの健康に大きな貢献をしている牛乳、とにかく口にしていただきたいとの思いから、ヨーグルトを始め、いろいろな商品を開発いたしました。
新鮮な生乳を乳酸菌でじっくり丹念に発酵させると、うまみが増し、コクが出ます。だから、香料や安定剤、酸味料等の添加物は一切使っていません。
厳選された1戸の酪農家が生産する生乳により、ヨーグルトが生産されています。自信を持ってお勧めしたいです。
さらに、ヨーグルトの効用について、乳酸菌の働きを含め、説明をしていただきました。参加者に手を挙げてもらったところ、ほとんどの方が、毎日、ヨーグルトを食べている結果となり、その良さについては、広く知られていることが確認できました。
■現在、加工品として商品化されているのは、「のむヨーグルト」「たべるヨーグルト」「こだわりアイス」「牛乳焼酎」「みるくジャム」「生チーズ」「ヨーグルト石けん」・・・など
Q&A
ヨーグルトの効用で特徴的なことは?
おなかの調子を整えることが挙げられますが、おなかの調子がよくなると肌の調子も良くなります。
どのくらい保存ができますか?
乳酸菌がいるので牛乳より長く保存できます。開封前の消味期限は、23日間です。
「伊都物語」には、トクホのマークがありませんが、つける予定はありますか?
マークをつけるには、莫大なデータが必要で、時間と費用を要します。「みるくぷらんと」はトクホ取得という選択をしていません。今回表示が法改正され、機能表示が可能になりますが、消費者の方にも、何がよいのか見極めをして商品を判断していただきたいと思っています。
牛乳は冷凍できますか?
凍ることにより変質しますので、お勧めはしません。ヨーグルトは冷凍できますが、食感は少し変わります。微糖のヨーグルトはシャーベット様にするとシャキシャキ感が出てきますので、よいと思います。
乳和食の提案へ
牛乳を毎日飲んでほしいという強い想いから、飲むのが難しければ、食べるという発想で、「食べるヨーグルト」それでもだめなら、料理で使う「乳和食」と、牛乳ライフの提案もありました。 「乳和食」では、普段使っている食塩や調味料を牛乳に置き換えることで、牛乳本来の持つ「うまみ」や「コク」だけを上手に活かし、おいしさそのままに減塩できるという、一石二鳥の料理です。
Q&A
みそ汁にヨーグルトはどのくらいの量をいれるとよいのですか?
大さじで1~2杯で味噌の量を減らすとよいです。コクが出ておいしくなります。また、料理で、醤油の代わりにヨーグルトをちょっと入れるなど、塩分の代わりに入れる活用方法があります。
感想などアンケートの声 (一部))
- 飲むヨーグルトは抜群においしく、贈答にも利用します。朝食時にフルーツにかけて、毎日食べています。
- 昨年11月の福岡シティマラソンの時に、応援隊として貴社社員が牛のぬいぐるみを着て参加されていたのが記憶に残っています。(一緒に写真を撮りましたよ。)
- 特に、みるくジャムはおいしかった。ただし、値が高い気がする。
- 丁寧に作っておられることがよく分かりました。購入したい気になりました。
- ノンホモ牛乳とは、今まで何なのかがわからなかった。高めの値段だったので購入を避けていましたが、納得できました。
- いろいろな料理にも適しているようなので、役立てたいです。
- バター作りがとても楽しかったです。飲むヨーグルトは飲んだことはありましたが、牛乳を購入してみたいです。
- 牛乳、ヨーグルトとも、本当に飲み易い商品です。「伊都物語」のネーミングがすごくいいですね。
- お味噌汁にヨーグルトを入れる、目が点になりましたがなるほどと思いました。
- バター作りをした後の牛乳が、他の低脂肪牛乳よりおいしかったのにはびっくり!!
- 飲むヨーグルトをよく飲んでいるのですが、飲み終わって側面や底に残っているものを、もったいないと思いながら捨てています。なんとかうまいこと飲みきることができないだろうか(横のへこみをなくすとか小さなスプーンをつけるとか)。時間をかけてすすっていると、“みっともないからやめて!”とカミさんに怒られてしまいます。
- 食べるヨーグルトはプレーンなのに、そのままでおいしく食べられてびっくりしました。
- 酪農家の方々の創立された企業だけに真に健康に役立つ観点から商品化されていると感じました。
- 特にみるくジャムのおいしさに感銘いたしました。今まではイチゴジャムを利用していましたが選択肢が一つ増えた感じです。
- 高価で脂肪が多いというイメージでしたが、栄養価が高いので、時々は利用してみたいと思うようになりました。
- とても優しいお話しぶりで暖かい感じ、そして一生懸命に製造されている思いが伝わってきました。
- 牛乳はあまり好みではないのですが、今日のノンホモ牛乳は甘みがあっておいしくいただけました。