2015年2月 (株)明治
2015/03/02
1971年に日本で初めてプレーンヨーグルトを発売した(株)明治。今回のわいわい塾では、その九州支社お客様相談室室長として、日頃から消費者の疑問に接し、また理解を深めるための出前講座を積極的に開催されている三上敦人氏にお越しいただきました。
ヨーグルトってなに?
①栄養:ヨーグルトは、牛乳に乳酸菌を加えて作られます。水は足さないので、牛乳と同じ量のヨーグルトには牛乳と同じ量の栄養、例えばカルシウムやタンパク質が含まれています。乳糖は牛乳の3分の2に減るので、これのために牛乳を飲むとおなかがグルグルしてしまう人でも、ヨーグルトならそうなりにくいです。さらにチーズでは乳糖がほとんど残っていません。牛乳の栄養を摂りたいのに苦手だという人にはヨーグルトやチーズをおすすめします。
②健康を助ける力:乳酸菌には様々な種類があり、種類の中の更に「株」によって得意技やその強弱が違います。腸の調子を整えたり、胃の状態をよくしたり、免疫力を高めたりしてくれます。
③日持ち:牛乳はすぐに腐ってしまいますが、ヨーグルトは乳酸菌でいっぱいになっているため、傷みにくくなっています。試しに、食中毒の原因ともなる細菌O157をちょっと加えると死滅してしまいます。ちなみに、ブルガリアでは昔はヨーグルトを、搾りたての温かい牛乳に、バラ科のドリャという植物の朝露を加えて作っていたそうです。毎年11月から5月ぐらいまでは乳牛を休ませるために乳を搾りません。その間はそれまでにきれいに壺で作って保存しておいたヨーグルトを食べたそうです。漬物やジャムなど保存食品のような扱いでした。
乳酸菌ってなに?
自然界にはたくさんの細菌がおり、空気中や水中、私たちの手や体内など、あらゆるところで生きていて、いろいろな働きをしています。その中で乳酸菌とは乳酸を作りだす細菌の総称で、ヨーグルト作りに利用されていることは知られている所です。数多くの種類、1つの種類にも更に「株」があり、菌の「株」によってヨーグルトを作った時の味や生産性、効果などが違います。
食べた乳酸菌はどうなるの?
腸内細菌は、生まれた直後より腸内に住んでいる“定住者”のような菌です。食べ物から摂取され細菌は腸を通り過ぎていく“旅人”のような菌です。“定住者”には、俗にいう人間にとって有用な「善玉菌」、悪さをする「悪玉菌」、どちらでもない「日和見菌」とがあり、バランスを取りながら腸内に住みついています。生まれたばかりの赤ちゃんにはいませんが、生後1週間もすると主に大腸の中に腸内細菌(さいきん)叢(そう)ができ、成人ではおおよそ100兆個いると言われます。
食べた乳酸菌は、胃酸などの影響を受けながら、一部は生き抜いて腸まで届き、一部は死んで腸まで届きます。生きて届いても死んで届いても、もともと腸にいる善玉菌が増えるのを助ける役割を果たします。いつもヨーグルトを食べている人と、そうでない人とで腸内の細菌数は変わりませんが、善玉菌の割合が増えることで、体の調子が整ってきます。食べた乳酸菌は、結局腸内にもとからいる“定住者”の菌と入れ替わるということはありません。
株によって異なる乳酸菌の効果
LB81:整腸作用に優れています。
R-1:免疫力を高める力に優れます。佐賀県有田町の保育園・幼稚園・小学校・中学校に協力していただき、7か月の間、お休みの日以外にこの菌を用いたヨーグルト90gを毎日摂取してもらって調査をしました。その結果、佐賀県全体の小学生23人のうち1人がインフルエンザにかかっている時に、有田町の小学生の患者は157人に1人、県全体の中学生が39人のうち1人がかかっている時に有田町の中学生の患者は324人に1人だった、という報告が得られました。
LG21:胃粘膜にくっつきやすく、酸にも強い活性を示す菌であり、胃の状態を改善する力に優れます。東海大学医学部の古賀教授のグループがピロリ菌の感染者30人に対して試験を行ったところ、この菌が入ったヨーグルト90gを1日2回、8週間食べてもらった結果、食べる前よりもピロリ菌の活動が抑制され、胃の炎症の改善が認められました。
疑問に答える出前講座(無料)のご案内
開催日時:平日10~17時
所要時間:1コース40~50分間
参加対象:成人20名から
テーマ :
①ヨーグルトセミナー
②シルバー世代の食生活セミナー
③チョコレートセミナー
Q&A
いつどれくらい食べればいいの?
1日に1~2カップまたは100~200gが目安です。毎日食べ続ける事が大切なので、食べることを習慣にしやすい時間帯に食べてください。
ドリンクタイプは何が違いますか?
一度固まったヨーグルトをかき混ぜたものがソフトタイプやドリンクタイプです。同じシリーズのヨーグルトなら栄養や乳酸菌の種類、菌数がほぼ同じです。
また、ソフトタイプやドリンクタイプも含めヨーグルトは「発酵乳」として、牛乳同様の栄養分と、生きた乳酸菌を一定量含むことが決められているのに対し、「乳酸菌飲料」として販売されている商品は、栄養が牛乳の半分だったり、生きている乳酸菌を使用していなかったりする場合もあります。購入する際の参考にしてください。
低脂肪タイプのヨーグルトはどうやって作るのですか?
低脂肪牛乳を材料にしています。脂肪分以外はほとんど変わらない栄養を含みます。
宅配でヨーグルトを取っていますが、店頭で売られている物と何か違いますか?
味や糖分、甘みのバランスなどを少し変えています。
感想などアンケートの声 印象に残った点(一部)
- 難しい内容を分かり易く説明され、とても勉強になりました。インフルエンザの罹患率の改善には驚いた。
- ヨーグルトを食べると便秘に良いとは思っていたが、胃がん対策や免疫力UPにもなるとは初めて知りました。
- ヨーグルトの効果を詳しく知ることができ、もっと食べないといけないと思いました。ヨーグルトに書かれている成分もちゃんと見て、どんな菌が入っているのか、低脂肪なのかなどを見て買おうと思いました。
- ただ良いと思って宅配を取っていましたが、理由がよくわかりました。これからはより味わって飲んでみようと思いました。
- 日頃なんとなくわからなかったことが学べました。健康を助ける力があるということが良かった。
- 食べた乳酸菌が死んでいても、もともと腸にいる善玉菌が増えるのを助ける、腸の調子が整う、腐敗物が減るということを新たに知りました。
- 何も考えずに食べさせられていたが、これからは意識して、毎日少しずつ、もっと食べようと思いました。
- 医学的なことも聞くことができ、大変面白かったです。
- LG21とR-1の効果の違いがわかってよかった。症状によって食べるものを変えたいと思う。
- 昨年がん治療を受けたので、R-1を免疫力アップのために1日おきに食べています。もう少しお値段が安かったら毎日食べられますが…。
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